石田誠 器展

2013/3/23(土)−30(土)
会期中無休
作家在店日:23、24日

南蛮焼締、紅毛手、スリップウェア。
進化をしてきたそれぞれは今響きあい、
石田さんの仕事にさらなる奥行きが
感じられるようになっています。
実用的なラインの形でありながら、
メロディーを奏でている様な軽やかな轆轤。
自由すぎる絵付けのタッチに心はゆるみます・・・
今展で9回目となる石田さんの個展。
どうぞ楽しみにいらして下さい。

愛媛県松山市にいる石田さんの工房を訪ねて、
これまで晴天だった記憶は少ないのですが、
今年は気持のいい青空が広がっていました。


「こんにちはぁ」と工房の戸を開けると、
こちらの御三方がいらっしゃいました。→
左の方は、以前の石田さんの訪問記にも何度か
登場している、陶芸家の佐々木さん。この日も
石田さんのお手伝いに。そして右の方は、石田さん
の工房より更に松山の奥地で、やはり焼物を
されているという宮内さん。中央石田さん。
何故皆さんが笑っているのか思いだせない
のですが(すいません)、なんか楽しそうですね。

今日の仕事は蓋物作り。用途自由。
多様に使える形にしているようです。

焼き上がったばかりの窯を
開けてもらいました。
良い色の器が焼けていましたよ。
覗くと熱気で顔がヒリヒリします。
カメラも高熱で壊れる事もあると
聞き接写はやめておきます。
見慣れない顔の石田さん。→ 
フレームも熱でフニャフニャに
なるらしく、メガネを外しての作業。

いい格好で寝ている
ニーロ.・・・ その向うに、
石田さんのお勉強教材(?)

工房内、昨年とは明らかに、
そして大きく違うカ所あります。

[道具]

佐々木さんが動かしていたのは
真空土練機。水分を調正しながら、
磁器土を投入。練られた土は
レーンの上に押し出されてきます
(右上画像)。それをもう1度、同じ
様に土練機にかけて、より滑らかな
物に仕上げるんだそうです。
左下画像の物も真空土練機で、
こちらは南蛮などの陶土用。
先輩から譲り受けたりし、石田さんは
2基も所有。作業効率アップに大きく
貢献している道具のようです。

右下画像
変わった形の杓子です。補強の跡や
デコボコもしており、手作りの様にも
見えたのですが、売ってる物のよう。
釉薬をすくい上げても波立たない
形なんだそうです。こちらも焼物なら
ではの道具のようですね。

石田さんの工房は目の前なのですが、
店主の足がピタリと止まる難所あり。
黄色いワサワサが揺れている気がします・・・

腹ごしらいもすみ、仕事再開です。

答えは天井です。むき出しになっていた鉄骨が錆び、その錆が作った物に落ちて
困っていた為、天井を張ったそうです。明るくもなっている気がします。

サイズも色々。無地と、絵付けを施す物と
あるようですよ。絵柄が楽しみです。

石田誠 いしだまこと

1965年 愛媛県に生まれる
1988年 愛知県瀬戸市に転居
1989年 愛知県立窯業高等技術専門 専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

2005

[以前に石田さんの工房を訪ねた様子はこちらから]

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2012

在庫部屋に出来上がっていた
器の数々です。

今回のご案内状の宛名面に、
マグカップの写真もモノクロで
あるのですが、その形とも
また違うカップがありました。
こちらもなかなか良い形で、
悩ませます・・・ 
青や飴色の器は鮮やかで
目に留まります。食卓でも
ポイントになるカラーでしょう。
今までに無いすり鉢状の
深いお鉢などもあります。

南蛮焼き締めの器は、
碗を中心に、酒器や花器などを
ご用意いただけるようです。
ロングセラーの箸置きもあり。
写真では南蛮の色合が
わからないかと思います
(光が足りません・・・)。
実物はどうぞ手に取り、
ご覧になって下さい。

「まだまだ作りますよぉ」
とおっしゃっていた石田さん。
あと何が届くかは
展覧会のお楽しみとなります。

[蓋作り] 初めて見ました。うまいもんです・・・

この時点ではぐい呑みの様な形。

広げた口縁を中心に寄せながら・・・

エッジの効いた形になりました。

[番外]

工房近くにある
石田さんの畑です。
お昼にいただいた
お野菜もここのもの。
忙しい石田さんに
かわり、畑を耕して
下さっているのは、
右画像中央の渡辺さん。
助かっている
石田さんです。

忙しい仕事の合間に連れて行って下さったのは、
石田さん佐々木さんのお知り合いの方が
個展をされている会場の、砥部焼観光センター。
ここで石田さんは、以前から探していたという
本を手に入れます。「うれしい〜」を連発し、
石田さんが喜び勇む姿がありました。
それは[砥部]と言うシンプルなタイトルの本。
古い砥部焼の図録です。今砥部焼と言われている
物に見るような、特徴的な染付の絵柄はそこに無く、
また少し趣の異なった焼物がそこには写っていました。

この本を運転席の横に置き、次に向かったのは、
砥部焼の窯元。佐々木さんのご用があり。
そこで目にした若い職人の丁寧な仕事、技術に
3人は見入ってしまいます。深鉢を轆轤でひいて
いた女性。長方皿に高台を付けていた男性。
手元を見つめられていても(しかも同業者に)、
動揺する様子はなく、落ち着いた仕事ぶりです。
器1つ1つに向かう時間は静かに淡々と流れています。
彼らのような人々が、砥部という産地を支えていると知ります。

[何をどう作りたい]などの発言は
あまりない石田さん。
ですが今回、石田さんの中にある
絶え間ない探究心と向上心を、
[砥部]という本入手と、職人仕事
見学の際に見せた石田さんの
姿から感じとる事は出来ました。
(店主も密かな期待をもちました・・・)
作りたい焼物、ありたい自分の姿に向け、
頑なまでに、真っ直ぐに突き進んでいる
石田さんであることは確かです。