石田誠 器展
2012/3/24(土)−31(土)
会期中無休
作家在店日:24、25日
心の揺れるまま筆先を走らせ、
即興的で規則性の見あたらない絵模様。
石田さんだから成せる表現の1つ。
周囲の反応がどうであれ、意欲を挫かず、
轆轤に向かえるのは石田さんの才能の1つ。
そうして自分の視点を貫いているからこそ、
今の[紅毛手]の器もあると言えるのでしょう。
使い手の心も揺らす器が今年も届きます。
紅毛手に白磁。スリップウェア等の土物。
予定通りなら、南蛮焼き締めも揃う今展です。
今年も伺った日は雨が降っていました。しとしとと・・・
愛媛県松山市。市街からバスを乗り継ぎ1時間。
バスを降りると空気はひんやりとしていました。
脇には沢が流れる山の谷間に工房構える石田さん。
風邪が治りきらずに来てしまった店主には、
そこがマイナスイオンで潤う場所で助かりました。
そして石田さんはと言いますと、仕事漬けの毎日を
送っているいるようでしたが、変りなくお元気でした。
右画像は、南蛮焼き締めを焼く全長約7mの薪窯です(後方から見たところ)。
薪の準備はされていましたが、窯焚きは4月の半ば頃にされるそうで、
焼き立ての物が今展に届く事はないのですが、工房を覗いてみると、
壺や碗、ぐい呑みや小皿などご用意いただいていましたので(下画像)、
店内に南蛮焼き締めの器も並びます。ご安心下さい。
5年前にお邪魔した時、石田さんのお手伝いをされていた佐々木智也さん
(陶芸をやっています)がこの日もいらして、薪割りの仕事をされていました。
左下/チェーンソーの準備、手入れをする二人。刃の研ぎ方も教える石田さん。
中下/丸太を積んだ場所が近くにあり、チェーンソーの出番はここであり、
薪の長さに切った後、軽トラで窯場まで運んできます。右下/その丸太を
今度は薪割り機にかける場所。窯焚き準備には大変な労力が必要なようです。
チェーンソーの小さな刃1つ1つにヤスリをかけていました(目立てと言うそう)。道具次第で仕事のはかどり方が変わり、
危険も伴う道具なので手を抜けないところ。エンジンをうならせて回るチェーンソーを目の前に後ずさりする店主です。
南蛮の碗やぐい呑み、小皿(長皿もありました)。そして仕上げがこれからの箸置き(スプーンフォークレスト)もあり。
(↑手ブレでボケてしまっています。すいません。)
こちらも出来上がっていた物です。白やクリーム色の紅毛手(絵付けした物も)に、キャラメル色の模様が走るスリップウェア。
そして新作がありました。化粧土をかけた土物で、[スリップ無地(粉引)]と石田さんは言っています。
それがとてもよかった事、ご報告します。中央の画像、小皿が6つ並んでいますが、左上がスリップウェア。
上中央が紅毛手のクリーム、右が白でこちら2点は磁器になります。そして下3つが新作の土物。土は南蛮と同じ讃岐土で、
それに化粧土と紅毛手に使う釉薬をかけたとう、南蛮と紅毛手のハーフの様な器です。色の表現は難しいのですが、
水を含んだ砂の様なチャコールグレー、少し白濁しているキャラメルの様なキャメル、ミルク入れ過ぎの紅茶の様なグレー。
和洋どちらの料理にもお使いいただけそうです。ブログでもクローズアップして、また碗も加えてご紹介致します。
[制作途中]
本焼き前の紅毛手も工房にたくさんありました。
どちらもきれいに作られたものばかり。
リム皿や大きめのお鉢、花器に、カップやボール類。
石田さんが技術向上に向け、
自分の仕事にテコ入れをしたのは数年前のこと。
その成果は並ぶ器でわかりました。
一足飛びにではなく、数を作り、
日々の努力があってのようです。
そしてお世話になった方々もいるようです。
「わかっていても急には出来ず、直したくても直せず、
時間がかかります・・・」、とのことです。
効率良く、生産性を上げる課題もあるようで、
4〜6寸のリム皿1枚に、轆轤は2分、削り3分、
型打ち2分、水拭き2分、釉関係に3分とかかり、
プラス乾燥、窯入れ、焼成・・・と続く話を、
轆轤を回しながらしていた石田さん。
100枚にかかる時間をその数字で単純計算。
でも、制作する石田さんを見ていると、
「え〜とっ・・・」と手が止まり、周囲をキョロキョロし
道具を探すこと度々。(店主笑ってました)
なので、[道具探し]と言うのも何分かにして加えて
みてはと提案するも(意地悪く)、無言の却下でした。
(その方が正確な時間がでるのでは?)
[制作、見せていただきました]
粘土が真空になる土練機を知り合いの方より
譲っていただいたそうで、以前より土練り
の回数が減っています。(効率UPですね)
→
轆轤の周りに土が一杯積ってます。
作業の前に足場を作る石田さん。
(効率悪い感じ・・・)
→
1つ目が出来ました。
シンプルなフラワーベースです。
[お世話になってます]
左上/石田さんおすすめのお豆腐、愛媛こだわり「養生とうふ」。
健康でいられそうですね。車で引き売りをしているお豆腐屋さんから
よくいただくのだそうです。(買ってもいるそうですが)
中央/大事そうに見せてくれたのが、石田さんが尊敬している、
沖縄の陶芸家、島袋常明さんの絵。見てると気持ちが晴れてきます。
右上/ご近所の方からいただいていた椎茸と菜の花。美味しそうです!
左下/工房にお客様。愛媛の大洲市にある[トゥデイズギャラリー]の
オーナー、堀田さん。奥の方は、石田さんの畑を管理して下さっている
渡辺さん(菜の花の)。石田さんを気にかけて下さる方々のようです。
↓
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時折、「ヨシッ」「ヨシャ」と
ボソボソッと言いながら、
黙々と轆轤を回しています。
こちらは壺形になるようです。
柄の長いコテを使っています。
細部にも神経を使い、
ハイ!出来ました。
次はもっと良く、その次は更にもっと良くと、根気よく、
しつこく粘る作業が続きます(これが大事なんですね)。
気がつけばさげ板の上には8個の花器が並びました。
手が慣れた後の方がやはり良いようです。
ところが・・・この写真の直後(1分もせず)にハプニングです。
石田さんがさげ板を持ち上げた瞬間だったのでしょう、
ボタ、ボタ、ボタと花器が次々と床に落ちてしまいました。
それも後の3つです。クニャリと見るも無残な形。
「なんでそっちが落ちるかなぁ〜・・・」と、
ぼやいて悔しがっているのは店主だけで、
落とした当人の表情に落胆の色は見えず、
「安定の悪いのが落ちたんだ」と言うだけでした。
(ドッと疲れたにちがいないとは思うのですが)
つかの間の微笑み・・・
「気をつけて!端の方」、声をかけたい。
落下事件の翌日、さげ板に花器が9個並ぶ写メールが
石田さんから届きました。形も増え様々に。
昨夜より轆轤に勢いがあり、形も締まった感じです。
結果オーライ? 災いを転じて福となすですかね?
あとは、会場に無事届く事を祈りましょう。
1965年 愛媛県に生まれる
1988年 愛知県瀬戸市に転居
1989年 愛知県立窯業高等技術専門 専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯
新しく購入したと言う、400sまで耐える台車。頑丈そうです。
砥部の磁器土を運んでます。 → → →
[以前に石田さんの工房を訪ねた様子はこちらから]