石田誠 南蛮の器展vol.5

2009/3/14(土)−21(土)
会期中無休
作家在店日14、15日


届いた器の荷をほどいていると、
「おおぉー」とか、「えぇ!?」とか、
思わず声がもれています。
嬉しい裏切りあり、笑いもあり(器で?)。
何が石田さんの琴線にふれて
ここへとたどり着くのかと、
手の中で器をまわし眺めながら、
イシダワールドをさすらうのもまた楽しい。
そして使いたくなっているのです。
南蛮焼き締め、白磁、紅毛手の器。
この春もH.worksに届きます。


愛媛県松山市の石田さんの工房を、「仕事ははかどっていますか?」の
恒例[パトロール]に今年も出かけてまいりました。南蛮焼き締めの窯焚きは
済んでおり、その点はひと安心でしたが、白磁と紅毛手の仕上がりはまだまだで、
納品日までの日数を指を折り数えては、その度に焦りの表情を見せていた石田さん。
(その様子がまたおかしい) いつもの様にお尻に火が付いている状況でした。

変わりなく、今年も元気に咲いて迎えてくれた石田さんちのジンチョウゲ。

昨年、南蛮の薪窯の煙突と煙道を大きくし、窯詰めのスペースも奥に広げ、薪をくべる焚口も増やしたんだそうです。
以前より窯がしっかりした感じです。(その窯で焼いた物が届きます) そしてもう次の窯焚き分の薪がきちんと山積みに。
展覧会用の器が、一部並べられて出荷を待っている状態に。在庫部屋が薄暗くて上手く撮れていないのですが
(この画像の色は当てになりません)、まずまずの焼でしたので、是非!お店で手に取ってご覧になって下さい。

窯の中

今回[ここはどこ?]と思うぐらいに、工房など、どこもかしこも見違えるほど綺麗に整理整頓されていて、
昨年見た瓦礫の山は跡形もなくなっていました。環境の変化は物にどう影響するのか、期待しましょう。
(でも道具を探し、広い工房内をうろうろしている石田さんの姿は相変わらず・・・)
訪ねた時、電気窯は温かく、焼き立てほやほやの器が顔を出していました。でも見慣れぬ焼きの物です(右画像)。
新たな試みをしたようで、今展覧会にも出して下さる物らしいので、こちらも楽しみになさって下さい。

[番外・羽田から]
店主、富士山が好きで、つい撮ってしまいます。

「フレームイン富士」

「関東平野なめの富士]

「手前にも富士みたいなもの」

[石田さんの仕事]
絵付けの作業を見せてほしいとリクエストしたところ、その他の作業もサービスして見せてくれました。
まずは、型でおこしたお皿(磁土の物)が乾燥したので、成形をする作業です。

お皿のサイズに合せ、湿台(しった)と
呼ばれる、器を置く台を選びます。

湿台を轆轤に固定。

お皿の高さに合わせ、削り出しOKの箇所
まで、トースカンと言う道具で印を付ける。

お皿を湿台にセット。
色々な仕上げかんな。

轆轤を回しながらかんなを当て、ビュンビュン削る。
かんなの部分部分を上手く使い分けて。

はい、出来上がり。美しい!
意外と1つに時間を要し、大変な作業です。

続いては、リクエストしていた絵付け。施釉もしてくれました。

素焼きした碗の角張った箇所などに
サンドペーパーをかけ、その後、
濡れたスポンジでカスやホコリを拭う。

藍色に発色する呉須を水でとき、
筆は(太)(中太)(細)を用意。
(筆先ボロボロですが・・・)
ちなみに、この筆置きは石田さん作。

轆轤に碗を5個重ね、下から上へ、
筆を一気に走らせます。口縁に
それぞれ、上手い具合に模様が入り、
まさかの、そして見事な技にびっくり!

1つ1つ描くパターンも。
石田さんお得意の「松と鳥」をすらすらと。

絵付けが済んだら釉をかけます。
釉に沈めてかける「ずぶがけ]です。
冬場は釉が冷たいそうです。
杓子を使うのも見せてもらいました。

余分な釉を落としています。
高台に残る釉は息を吹きかけ飛ばします。
指の跡なども上手く拭います。

ちょっとすると、水分だけ
素焼きの碗に吸収されていく。

施釉が済んだ碗は、
この後本焼きされます。

これが出来上がりの染付。
タイミングよく窯から出した
ばかりのものです。
日常的にうっかり、ぽっかり忘れのひどい石田さん。
記憶を司るどこかが未発達なのでは?(失礼!)
などと思いきや、自分の琴線にふれた物、
言葉など、表現につながるものは、
些細な事でも、鮮明にその記憶を口にし、
ドキッとさせられたりすることが度々あります。
石田フィルターのスルーとキャッチ。
この作動に大きな落差をもつ石田さんに、
非凡なものを感じてしまいます。

1965年 愛媛県に生まれる
1988年 愛知県瀬戸市に転居
1989年 愛知県立窯業高等技術専門校
       専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

石田さんちから車で少し行った所にある、四国遍路48番目の札所、西林寺にて。(左)
まだ松山も寒かったというのに、境内には桜が満開に咲いていて驚いてしまった。(右上)
石田さんの紅毛手のお皿にロールケーキ、カップにアールグレイでお茶の時間。(右下)

[番外・三津浜]

松山市の中心地から電車で15分。ドラマや映画の
ロケ地にもなっているという三津浜に行ってきました。
松山の海の玄関口として栄えてきた港町で、松山の
文豪達が、ここから船で上京、上陸した地でもあるようです。
雨の中、ブラブラと古い町並みの気になるものを
撮って歩きました。途中、石田さんおすすめのお店で、
お好み焼き(広島焼き風)を食べ、お腹いっぱいに。

対岸への渡し船もあり。

この日は寒かった・・・

店名にロマンありの瀬戸物屋さん。

松山を代表する厳島神社。
社が美しかった。

[日に三度 元気もりもり さあご飯]
お米屋のコピー。指の絵もなかなかいい。

初めて見ました。
新聞専用ポスト。
しかも新聞社別。
黄色の愛媛新聞が
断トツで多かったです。

金物屋の店先。
バリエーション豊かなシルバーカー。
町の様子が見えてくる。

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2008年

[以前に石田さんの工房を訪ねた様子はこちらから]

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