石田 誠  南蛮の器 展

先月末に、石田さんを訪ねて、
夏目漱石「坊ちゃん」の舞台でもある、
四国は愛媛県松山市に飛んでまいりました。
市内から車で40分ぐらい、
山岳方面を目指してしばらく平地を走り、
途中、山間を少し上がっていくと、
石田さんのからくり屋敷と呼ばれている、
工房兼お宅と、薪窯が突如見えてまいります。

ここで作られる石田さんの器は、
本当にシンプルに土を焼いた器です。
何故焼き締めを始めたのか、
と、ある方に聞かれていた石田さんは、
「カッコよく言ってしまうと、
土・火・形だけで作りたくなったです」
と答えていました。
瀬戸に居た頃、色々な焼き物が有りすぎて、
そんな思いになったのだそうです。

工房と道路を挟んだ所、
ゆるい傾斜地に
薪窯が作られていました。
全長約7mの穴窯です。
年に4回、
3〜4昼夜焚き続けるそうです。
仕事の3割が薪作り、
そして土作り3割、
形作り3割、
窯焚き1割だそうです。
根気と体力、
そして情熱がないと
出来ない仕事でしょう。

この窯の脇には沢があり、
水の流れる音が、
心地よく聞こえていました。

解体業者さんが勝手に運んで
置いてってくれる廃材。
すごい量でした!

薪割り現場。

用意された薪。
1度の窯焚きで、
この倍使うそうです。

今回の展覧会の、南蛮の器はもう既に
出来上がっていて、送り出されるのを
待っている状態でした。とてもきれいに
焼きあがっていましたので、
楽しみにしていただきたいです!

(左下)画像は、今回新作だという、
砥部の磁器土を使った器になります。
この時は、成形を終えた段階で、
まだ焼かれていませんでした。
成功すれば、お披露目が出来ます。

[気になる石田邸・石田さん]

〔A〕

〔B〕

〔C〕

〔D〕

〔E〕

〔F〕

ジャージスタイルは石田さんの定番。
マフラーはヨン様巻きだそうです・・・面白い石田さんです。

どこを写してもいい、公開してもいいという承諾を得たので、
遠慮なく撮らせていただきました・・・

石田 誠 いしだまこと

1965年 愛媛県に生まれる

1988年 愛知県瀬戸市に転居

1989年 愛知県立窯業高等技術専門校
              専攻科卒

1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

[A]一斗缶をカットし、木の蓋を付けたポスト。
  バックのジンチョウゲの蕾の赤とも合ってます。

[B]何の部屋だろうと思っていたら、今は使って
  いない薪のお風呂場だそうです。窓付きの
  いやに小さいこのドアに惹かれます。

{C]増築されているサンルーム(?)に、石田さんの
  もう一つの仕事、絵を描く机がありました。
  いただくお便りにはたいがい絵が描かれて
  います。カモにカメ、仏様に松・・・

[D]この店の1周年記念に作った手拭いが、
  干されているのが目に飛び込んできて、
  嬉しくなり、撮ってしまいました。(中央・白)

[E]男松を台所に飾ると、お金に困らず暮らせる
  と聞き、やり始めたら、止められなくなって
  しまったのだとか。庭先の松を切っては
  飾っているそう。のこぎりを持ち、枝ぶりの
  いい松を探す石田さんです。

[F]出来上がった器が並んでいた部屋の、
  土間にあった、今は珍しいだるまストーブです。

石田さんの器が、
どんな器とも不思議に相性が良いのは、
究極にシンプルで、
[自然]だからだと思います。
一見地味な器は、
食材とも、他の器とも調和し、
大きな存在感も放ちます。。
使い込めば、表情はやわらかく変わり、
愛しい器になっていきます。

以前、椅子やテーブルが古くバラバラという、
今時のカフェに入った時の事。
注文した杏仁豆腐が、石田さんの碗に入り、
金属のレンゲが添えられて出てきました。
石田さんの器を使っているのにも驚きましたが、
その3つの取り合わせの感覚が新鮮でした。

2005/3/19(土)−27(日) (会期中無休) 
   [作家在店日19.20]

お邪魔している間に、お友達が次々と
いらっしゃって、丸い小さな卓袱台を
5人で囲み、お茶をいただく事となりました。
個性派揃いのお友達のお一人が、
「むくろじ」という木の苗と、
実を持ってこられて、興味津々に・・・

[番外・1]

乾いたむくろじの実。揺らすと、
中でカラカラと種が動く音がします。

むくろじの種。羽根突きの羽の
おもりの部分に使われるのが、
これだそうです。美しい!

石田さんの、南蛮と磁器の
そば猪口でいただく、
ミントティーです。

松山城です。外観一部工事中でしたが、
中は、天守閣まで上がれました。
黒澤明の世界です。
そして、十体はあった、兜と鎧には感動しました。
漆に皮、金属、染色に織、それぞれの細工、
デザインが素晴らしく、見ごたえありました。
城内には、梅・桜が多く植えられており、
春でなかったのが残念!
市内(城下)が一望できて、瀬戸内海も見える、
気持ちのいい所です。

[番外・2]

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