石田誠 器展

2010/3/20(土)−27(土)
会期中無休
作家在店日:20、21日

このところの石田さんは、南蛮の器と並行し、
作り続けてきた紅毛手に、更なる面白みを
見つけ、口癖にもなっている[技術向上]にも
邁進中と、新たな展開にでています。
石田さんらしい気持のいい大らかな轆轤は
そのままに、細部のつくりやプロポーション、
機能を踏まえた造形は確かに良いものに。
と言う訳で、今展覧会では、色味の広がりも
見せる紅毛手の新作様々が並びます。
大きく舵を切り出した石田さんの器、
是非手に取ってご覧になって下さい。

今年も愛媛県松山市に石田さんを訪ねました。
恒例のパトロールです・・・ たくさんの仕事を抱え
ている様で、その日も作業に追われていましたが、
手を動かしながら店主の突っ込む話に対応(よく
気が散らないものだと感心)、時に、ラジオから
懐メロが流れると、「化石みたいな歌がかかりや
がった」とぼやき、時に「豊かさとはなんぞや」と独り
言のように語っていた石田さん。今年も元気でした。

 [制作途中の物、出来ていた一部]

1、昨年からリクエストしていたたっぷり
 サイズのマグカップ。持った感じもよ
 かったです!『カフェオレ飲みたいな』、
 『野菜さいのめのスープもいいな』など
 と想像がふくらみました。
2、万能皿になりそうな長角皿。魚皿に
 も丁度いいかも。まだ素焼の状態です。
3、リム皿は、各サイズあり。徐々に改良
 がなされているようで、出来あがってい
 た7.5寸の物を手にしましたが、良い
 出来栄えでした。安定してきている様子。
4、石田さんには珍しい丼になります。6寸
 碗は多く作られてきましたが、このサイズ
 は無かったように思います。こちらもまだ
 素焼でしたので、届くのが楽しみです。
5、『何これ?』 ぱっかり二つに割れてい
 る・・・ すると石田さんがセッティングして
 見せてくれました。ブックスタンドでした。

  この他、色々なアイテムが届きます。

[今日のお仕事は]

最近電気窯をもう一基買った石田さん。やる気満々ですねぇ。

右が見ておわかりの通り新しい窯。
精度はいいが、古い方がつくりは頑丈だとか。

古い方の窯には焼き上がった器がぎっしり。

棚板8枚分の器を取り出します。

        

素焼の碗、釉薬をかける前に、
濡らしたスポンジでちりや
ほこりなどを拭います。
ピンホールや鉄粉を作らない
為だそうです。この一手間に
結構時間がかかるようです。

そして手際良く釉がかけられていきます。

[変化]

工房の劇的な変化に
昨年も驚かされましたが、
今年は更に整理整頓が
なされ、仕事の効率を上
げる努力が見受けられま
した(当然の事と言えば、
当然なんですが…)。
そして、昨年無かった物も
片隅にチラホラ。

4

5

A

B

C

A、器にあてるコテと、口径と深さを測るトンボという道具を、器のサイズ別にタグを付けセットに。以前は
  コテ1つで何もかも作っていたというのが嘘のようです・・・
B,、『ここで優雅にお茶でもしてするのかしら?』と思ってしまった、喫茶店にありそうなこの丸テーブルですが、
   聞くとこれ、型作り専用の轆轤なんだそうです。削ったりする道具(台の上)も出して見せてもらいました。
C、石田さんちの魔除け。石田さんがお世話になり、尊敬していると聞いている、沖縄・まじる商店のまじるさん
  が作られたシーサー。ちょっとコミカルで、笑みがこぼれます。待ち受けにするほど石田さんお気に入り。

[砥部の製土所]

一昨年も案内してもらった、石田
さんが磁器土をお願いしている
[砥部陶磁器原料]さんに伺い、
今回は中を見せていただきました。
今では大変珍しい、[湿式]と言う
方法で、水の中で陶石を砕き、
[泥しょう]と言う状態になったものを
水簸、砂や鉄分を取り除いた後、
フィルタープレスをし、粘土にする
というやり方。簡単な説明になりま
したが、手作業あり、細かい工程も
まだまだあり、大変なお仕事です。

このやり方の始まりは、水車が
動力だったのかもしれませんが、
今は電動モーターで、歯車を回し、
スタンパーと呼ばれる何本もの
柱を上下に動かしています。現場
は、このからくりが作動する音で、
会話がままならない状態でした。

陶石をすくい、柱の落
ちる水の中に入れます。
ここで砕かれます。

柱のスタンパー(臼)は4基あり。工場内は
グルグルと水路が巡らされています。

お仕事中にもかかわらず、色々と教えて
下さったのは、写真右の方、佐川啓二さん。
この日ご不在だったお父様の金広さんと、
いつもは親子で切盛りされているそうです。
こういう方々がいらして、陶芸家の仕事は
成り立っていというわけなんですね。
石田さん、頼りにされているようでした。
湿式で出来た粘土は、粒子が細かく、
粘りのある良質な物だそうです。

  お二人、同い年だそうです。 →
頑張る40代です。

   ↑陶石
    
   フィルタープレスで
← 水分を落とします。

意外にも、人知れずコツコツ努力をしている人。
つねに目標をおいて。(ばらさないでほしいかも
しれませんが) そして、焼物に限らない、尽きぬ
好奇心が、柔軟な感性を作っているようです。
死んでいるのかと思った仰向けのカメムシに、
土を放ったら、パッと足でキャッチしたとかで、
一人で大ウケしている石田さんでした。

    1965年 愛媛県に生まれる
    1988年 愛知県瀬戸市に転居
    1989年 愛知県立窯業高等技術専門校
           専攻科卒
    1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

以前に石田さんの工房を
訪ねた様子はこちらから

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

出来た粘土です。

[番外・1 倉敷と、広島愛媛間のしまなみ海道]

フェルトの宮崎さんお薦めの倉敷、金物の坂野さんお薦
めのしまなみ海道。ここを半日で制覇しようと無茶な計画。
結局倉敷は大原美術館と民芸館を小走り状態で見て、
次なる目的、瀬戸内に浮かぶ6つの島を結ぶしまなみ
海道をバスで渡り、その景観を楽しむ計画は、山側の席に
座ってしまい(パノラマの海を想像していた…)、橋を渡る
時だけ、海が真下に見えるという具合。『あー残念!』
次回は(あるかな?)間違えないぞと誓ったのでした。

[番外・2 砥部、七折梅園]

久々に花に埋もれました。
こんな場所が砥部に
あったとは知らなかった。
16000本もあると知り、
胸躍らせて行ってまいり
ました。松山市内からバス
に45分ゆられ、下車した
後は、ひたすら山間の道を
歩くことまた45分。藤色から
ピンクに染まる山の斜面が
見えてきます。強く香ってい
たの蝋梅でした。薄桃色の、
八重の梅は、見頃をちょっと
過ぎてしまっていましたが、
白梅はいい時でした。梅の下
には菜の花畑が広がり、春の
色あいです。梅茶もいただき、
まったりと過ごしたのでした。

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