石田誠 器展

2011/3/26(土)−4/2(土)
会期中無休
作家在店日:26、27日

水切りかごが定位置のようになっている。
そんな器ってありませんか?
毎日出番があり、なかなか食器棚に戻る間がない・・・
石田さんの紅毛手マグカップが我家ではそう。
7.5寸リム皿も時々かごに連泊です。
当店の定番になりつつあるそのカップやお皿も、
石田さんは[マイナーチェンジ]を繰り返しています。
より美しく、より使いやすくするために。
紅毛手の新たな形。ライブ感に溢れる絵付けの物。
新作のスリップウェアと今展では揃います。
そして南蛮の薪窯準備も進んでいるようです。

店主が石田さんの工房を訪ねることを、
いつからか[パトロール]と言うようになりました。
(言い出したのは石田さん)
長野の松本クラフトフェアで去年、
「まこちゃんのパトロール見てますよ]と、
声をかけて下さった方がいて(石田さんと親しい方でした)、
思いがけなくて、とても嬉しくなりました。

今年もその任務を果たしに松山へ・・・

個展前のエンジンがかかりづらかった以前とは違い(変化あり)、訪ねた時は、
いい調子のスピードで走行中の石田さん。ギアをトップに入れる日も近い様子でした。

そして今回石田さんは、3年ぶりだという南蛮焼締めの制作にとりかかっていました。
もう南蛮はやらないのでは・・・と思われていた方も多いでしょう。待っていて下さった
方もいるかと思います。工房には、汗だくで南蛮の轆轤をひく石田さんがいました。

C

D

E

A、工房周囲に杉の木・・・ 店主の顔は曇ります。 B、こちらは南蛮専用の工房。贅沢にも磁器専用と2つあるんです。
C、乾燥中の品々。窯を一杯にするのにはまだまだ作ります。 D、粘土槽の中の南蛮粘土(讃岐土)。 E、壺類ずらり。

↑ 薪も山積みで準備万端です。
この大量の薪がなくなるんですね。

← 南蛮の薪窯です。
伺った日の数日後には、
窯詰め作業に入ると聞きました。
その後、3日間の窯焚きのようです。

あちらこちらに
野ざらしの南蛮あり。
しとしと雨のこの日、
濡れた土肌は
きれいです。

A

B

1、南蛮の土は切れやすいから[1個びき]をすると以前聞いていましたが、この日は土の塊から連続でひく
 [山びき]していた石田さん。土を飛び散らかさず、以前より服を汚さなくなったとか。轆轤の腕を上げた証のよう。
2、勢いよくどんどん作られていきます。大きさを測るトンボの出番もなし。焼くと3寸ぐらいでしょうか。
3、「片口にしよう」と、お皿の縁に小指を押し当て、ちょんちょんちょんと口が作られていきました。
  「そんな簡単にできちゃうの?」と驚きです。口がアクセントのお皿になります。
4、パステルの様な角柱で、南蛮の焼き色が楽しめる、石田さん定番のスプーン・フォークレストがあります。
  その表面に刷毛目が付いていたとは気が付きませんでした。ゆる目の南蛮粘土をいっせいに刷毛で塗って
  います。この一手間で表情はだいぶ違っているんですね。

土練りをしています。
今度は何を作るのでしょう?

棟方志功?

何だか見えてきました。

はい、出来ました。
今回第1号となる徳利です。

以前に白磁の徳利作りを見せてもらいました。
その時より轆轤がひきづらそうに見え聞くと、
南蛮の土は磁器土よりやはりひきにくいそう。
磁土もひきやすいものではないけれど、
頼んでいる製土所の丁寧な仕事のお陰で、
ひきやすい土になっているんだそうです。

この後、徳利作りはしばらく続き、いくつもの
徳利がさげ板に並んでいき、どんどん良く
なっていいくのがわかりました。私が帰った後、
更に良くなっていったと聞いています。
それは、個展で是非ご覧下さい。

失敗した物で厚みの確認。
断面が見えるよう糸でサッと切る。

新たなハイテク機器が、
石田さんの生活を潤していました。
パソコンはマックを既に持っているはずですが、
こちらはコンパクトなノート型です。
(でも聞いた事のないメーカー)
以前は聴けなかった大好きなTBSラジオ他、
AMラジオがこれで聴けるんだとか・・・ 
(それだけの活用ではないようですが)
賑やかな地域からは離れた石田さんの
暮らしですが、私よりずーっと進んでいます。

工房の片隅に・・・

南蛮の窯焚きが済んだら、
紅毛手の制作にも
とりかかるそうです。
既に出来ているものも
たくさんありました。

                

 こちら磁器土を使う工房。

← こちら在庫部屋 
  ↓

新しいタイプのお皿、カップ、お鉢に碗と、
どれも形が
良いものばかりでしたので、
楽しみにしていただければと思います。

玄関を入った所にこんなしつらえが。
尺はある古い石皿。
花器は石田さんのものでしょう。
庭先に咲いていた水仙・・・

こちらも玄関にあり。気が付いては
いましたが、雑誌の切り抜きぐらいに
思い、ふれずにいたところ、帰り際、
石田さんから説明がありました。

ジェームスブラウンの若かりし頃の
写真で、しかも直筆のサインと
メッセージがついているものだと。
ネットオークションで落札したそうですが、
聞くと金額が安い!周囲からは偽物を
つかまされたと言われているらしい。
同感!本人も『限りなく怪しい』と、
チラッとは思っているよう。

額装もしっかりしてます・・・

1965年 愛媛県に生まれる  1988年 愛知県瀬戸市に転居  1989年 愛知県立窯業高等技術専門 専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

縁が端反るタイプの
紅毛手カップ。新作。

[石田さんちのニーロ]
かわいい後姿。
ちょっと距離あり。

すこ〜し接近。
横顔も体の
ラインも素敵。

あらっ!
なかなかの美男子。
自ら正面を
向いてくれました。
こっちを撮れって。

以前に石田さんの工房を
訪ねた様子はこちらから

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

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何を作っている時が一番楽しかと尋ねると、
すべからず楽しい。
でもすべて難しい。
何をとっても簡単なものはない。 と返ってきました。

思い描いている理想の仕事の、
今はその3合目あたりなんだとか。
自分をよくみつめていて、問題意識も高く、
1歩でも先へ進もうと自分を駆りたてています。
砥部で焼物をする後輩に、轆轤を教わったりして
いるとも聞いています。

[厳しい仕事、優しい表現]をモットーに、
4合目、5合目を目指して登る石田さん。

2010年

東北地方太平洋沖地震におきまして被害にあわれた皆様に
心よりお見舞い申し上げます。

今展の収益の一部は、日本赤十字社を通じて、
東北地方太平洋沖地震の義援金とさせていただきます。

石田さんより申し出があり、店主も賛同致しました。

購買を促し、強いるものではありません。
気に入っていただいた石田さんの器があってのことになります。

微力ですが、被災地の皆様の少しでも力添えになればと願っています。
ご協力ご賛同よろしくお願い致します。