河上智美 ガラス展


2015年4月18日(土)−26日(日)
会期中無休
作家在店日:18日(土)


アンバーラインの新シリーズ。
形も描かれる模様も様々な器を
ご用意下さると伺っています。
新色を加えたグラス類に、鉢、
ピッチャー、花器、ライト、
木と合わせたドーム類などのお品。
リクエストに応えて下さり、
少し大きめのお皿も並ぶ予定です。
春の光と響き合う河上さんのガラス。
どうぞ今展でお楽しみ下さい。

茨城県常総市で制作をする河上さんを、
4月上旬に訪ねてまいりました。関東では
桜の見頃を迎え、車のフロントガラス越しに
様々な桜を眺めながら向かったのでした。

工房の炉の前には、アンバーラインの
グラスを制作する河上さんがいました。
その様子を見せていただきます。

1:竿に巻いたクリアの種と、溶かしたアンバーの色種をくつけます。
2:ドッキングされ綺麗な2層に。この上にまたクリアをかぶせていきます。
3:アンバーの種をクリアでサンドする3層に作り上げます。

4:3層になった種を、凹凸模様をつけるモール型に入れます。
5:凹凸がついたものをねじりながら転がしていくと、凸と凸がくっつき、
 同時に窪み(凹)も重なり、重なった部分のアンバー色が濃くなり、
 ライン状になるようです。(この時点では赤いかたまりなのでその変化
 が捉えられず) またねじる事により、そのラインが螺旋状にもなると。
6:竿の先から空気を送りこみふくらましています。(カッコいい!)
7:竿を回しながら、トングの様な道具で口を広げています。

10

8:決まったグラスの高さにする為、ハサミで口縁をカット。
9:グラスの形が見えてきました。アンバーの色も。
10:竿を外し、その接着痕をバーナーを使い綺麗にして
  出来上がりです。

[グラス制作パート・2]
[吹き硝子河上]を陰で支えていらっしゃる
のがパートナーの斉藤克彦さん。
二人の作業となる、また違う新作グラスの
制作も見せて下さることに。それぞれの動き
を確認。段取りをとるお二人。

1:始まりました。炉の中で溶けているガラスを竿に巻きつけます。
2:それをコロコロと転がし形を整えているようです。
3:斎藤さんの出番です。色種をつけた竿を炉に入れています。

4:河上さんの持っていたクリアの種はモール型に入りました。
5:ここで共同作業です。モール型で凹凸のついた種を河上さん
 が回転させ、その上から色種を線状にして垂らす斎藤さん。
6:色種がグルグルと巻きついたものにバーナーを当てると、
 あら不思議、小さな粒粒が凸の部分にでき始めます。
 (凹上に浮いて巻きついていた部分は焼き切られたもよう) 

とにかく河上さんは立ったり座ったり動く動く。ガラスは柔らかい
ままではいてくれません。(素早い動作にカメラは追いつかず)
道具をとっかえひっかえし行う数えきれない工程(写真のコマ数
まったく足りず)。そして河上さんは竿を縦横無尽に操り、大きく
回転もさせたり、まるで剣術でもしているかの様(近づけない)。
日々、1日中これが続けられている事、酷暑となる真夏の工房も
想像すると、強靭な肉体と精神を持っている人だと思えてきてし
まいます… そしてスポーツ選手並みの瞬発力と持久力も。

7;出来た粒粒を馴染ませ、この後竿を吹き形にすると…
8:粒粒の色種は白で、こんな可愛い模様が浮かびました。
 [豆絞り]の様なドットだと言っていた河上さん。

[出来上がっていたお品の一部]
作品が並ぶギャラリースペースにもお邪魔
しました。木工も好きで得意な河上さん。
2年前に伺った時より棚がだいぶ増えてい
ました。そして増えているのはニャンコも。
斉藤さんが抱えている小熊の様なク―
ちゃんは8kgあるそうです…

[グラス制作パート・1]

A

B

C

D

E

A:格子模様の入る風鈴。短冊の模様づけも河上さんの手に
 よるもの。ルビー色のアクセントはチェコビーズだそうです。
B:新旧、様々なお鉢です。
C:「そうめん鉢(銘々用)にいいでしょ?」と河上さん。
D:抹茶色と紅茶色の新作グラス。もう美味しそうです…
E:四角皿、輪花皿などお皿類もあるようです。

カメラを向けると何やらまた打ち合わせ。とったお二人のポーズが
今流行り(?)の[おばさんポーズ]。ゆかいなんです。

左:は工房。
右:工房の裏手直ぐの所にあった桜並木。

河上智美 
かわかみともみ  
1974年 東京生まれ   
1993年 都立工芸高校室内工芸科 卒業
1997年 能登島ガラス工房宙吹きコース受講
1998年〜2001年  株式会社松徳ガラス勤務
2003年 茨城県つくば市に[サッカベ硝子工房]を開く
2010年 茨城県常総市に[吹き硝子河上]の工房を構える

宙吹きのガラスは作り込みがしにくいと河上さん。
今回見せていただいた制作(2つのグラス)からは、
それを払拭するように、自分なりのガラスを作り出す
努力をされている河上さんを知ることが出来ました。
普段意識されて見ているのは、焼物や漆器など、
素材の異なる器だとか。[これをガラスで表現するには
どうしたらいいのか]、アイディアを絞り、再現を試みる
そうです。そして新作の誕生へと繋げていくようです。

新作アンバーラインの鉢とグラス

2013年に河上さんの
工房を訪ねた様子
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