須藤拓也 陶展

2014年6月14日(土)−22日(日) 会期中無休
作家在店日:14(土)・15(日)・21(土)・22(日)

時空を自由に行き来し、トリップしている様な絵模様。
写真の器は陶器に染付を施したもの。
瑞々しく鮮やかに目に映る磁器染付ともまた異なり、
呉須の色が馴染む土肌はしっとりとやわらかな表情です。
陶器と磁器の染付を中心に、ルリ釉、白磁、鉄釉。
そして新作の黒釉のお品が並ぶ予定と伺っています。


6月初旬。連日の夏日… 須藤さんの工房を訪ねた日も、
梅雨明けした季節のような日差しでした。
東京・国分寺市。以前と変わらず、あふれる緑に囲まれた
場所で須藤さんは制作をされていました

[番外・須藤さんちから数分の場所]
武蔵野の地は昔、どこもこんな風景だったのではと思わせる場所が、
須藤さんのお宅周辺にはあります。前回は南側の[武蔵国分寺跡]に行き、
前々回は北側にある清流[お鷹の道]を歩きました。今回もその清流沿い
を歩き、国分寺崖線と言う段丘に突き当たったので上がってみると、そこは
鳥のさえずりが響き、陽も遮るように樹木が生い茂る緑地が広がっていました。
左:湧水地。須藤さん御用達の野菜直売所もこの近く。ここから段丘を上がる。
中上:歩きやすい小道。コナラ、桑、イロハモミジ、山桜… 竹林もあり。
中下:ソメイヨシノの巨木です。春はどんな景色なのでしょう?
右上:オニ胡桃の木を初めて見る。黄緑色の実が生っていた。(画像真ん中)
右下:ここは[武蔵国分寺公園]と言う場所でした。自然のかたちを残した
   雑木林のエリアと、開放的に整備された原っぱのエリアがあります。

左:麩饅頭とジャスミン茶をいただく。器はもちろん須藤さんのもの。
  今では定番品となっている人気の唐草六角皿に、鉄釉六角鉢。
  猪口は大きめの物で、鉄絵横縞文と新作の黒釉のものです。  
中:ミョウガとオクラが生き生きしています。器は新作の黒釉3点。
  茶色味を帯びた黒。遠目からは単調な表情に見えますが、
  微妙な濃淡のある色合をしています。盛映えがする器でしょう。
右:新柄の染付7寸浅鉢2点。須藤さんの染付はどこかオリエンタルな
  空気をまとっていると感じます。(中国、ペルシャ、タイや安南の
  焼物が好きだと伺っています) オリジナルの絵柄にある草花は
  想像のものだとか。未開の地に人知れず生息しているかも(?)

伺う度に撮影をさせていただく電気窯。小さいので同業の方は驚くサイズです。
焼物を始めた時に工房として借りたアパートの電気容量の関係でこの窯になり、
そのまま買い替えることなく今に至っているのだそうです。還元焼成(窯内の酸素
を奪う焼き方)をする際は、ガスボンベに繋げたバーナーを窯に差し込んで使用。
大事に扱われているのでしょう。老朽の様子がまったくないです。

左:絵付けなどがこれから施され、本焼きとなる品々のようです。
中:様々なお品物が出来上がっていました。こちらにルリ釉のもの、
  マグカップなどの白磁、定番の長角皿類も加わるそうです。
  新作の黒釉しのぎ皿も見えています。
右:ぽってりとした白釉の丼鉢。形も美しく、麺をすすりたくなりました…
  他白釉のものでは花器などもご用意下さるそうです。楽しみです!

電気窯、蹴轆轤、作業台。そして小さな道具類。
今回が3度目の訪問となりますが、目新しく加わった物も見あたらず。
筆を良いものに変えたと、たぬきの毛の面相筆を見せて下さる
(腰があり、伸びも違うのだとか)。家具職人に作ってもらったと言う
頑丈な作業台で土練り、手びねりの成形、そして絵付け仕事もする。
必要以上の物は無く、全てを有効活用。この空間は、自分の物差しを
持ち、いつも穏やかな須藤さんの心のあり様を映していると思えました。

左:変わらない事ばかりではありません。この春ご結婚もされ、そして3日前から
 生後1カ月のオス猫、ミヤオ君とも暮らし始めていました。猫を飼うのが初めて
 らしく、抱えるのもぎこちない須藤さん。「こんなキャラじゃなかったんだけど」
 と言いながらゆるませる顔。奥さんの育てる植物が庭を彩り始めていました…
中:庭の入口にある楓。ほんのりと赤く色づくプロペラ状の種ができていました。
右:家の前、大家さんの土地だと言う場所には今、自然に生えているドクダミ、
 シロツメクサ、そしてフキなどが群生しています。懐かしい風景に見えます…

須藤拓也 すどうたくや

1972年 福島県生まれ  
明治大学文学部中退後、多摩美術大学二部デザイン学科卒業
グラフィックデザインの仕事に就いた後、愛知県立窯業高等専門学校で陶芸を学ぶ
現在、東京国分寺市にて制作

exhibitionのページに戻る