[ 石田誠 器展 ]

軽トラに積まれているのは、南蛮焼締やスリップウェアになる[讃岐土]です。工房から少し離れた
場所に保管してあるその原土をこの日運んでいらたのは、石田さんのお手伝いを時々されている
陶芸家の佐々木智也さん。荷台から粘土槽(土に水を加える場所)へ移す作業に、道具をあれこれ
駆使しながらも手こずるお二方。見た目以上に重い土。息を切らしながらの土作りです。

2014年3月22日(土)−30日(日)
会期無休
作家在店日:22日(土)・23日(日)

南蛮焼締でうめつくされた初回から、
今展で10回目を迎える石田さんの器展。
白磁、紅毛手、スリップウェアと、
枝別れをするように広がる変化を
これまで見せてきました。
根幹にながれるものにかわりはなく。
気持のいい大らかなつくりに、
細部に焦点をあつめる美しさもあり。
そして遠慮なく日々使える器です。
枝葉をしなやかに伸ばしつづける
石田さんの焼物。どうぞご覧下さい。


石田誠 いしだまこと

1965年 愛媛県に生まれる
1988年 愛知県瀬戸市に転居
1989年 愛知県立窯業高等技術専門 専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯

[待機中] 
これから窯に入る器が整然と並んでいます。
どんな焼き上がりで届くのでしょう。

工房の前まで辿り着くと、そこから突き出ていた
煙突からモクモクと煙が立ちのぼっています。
薪をくべたストーブで暖かくなっている工房には、
もくもくと轆轤に向う石田さんの姿がありました。

[この日の仕事]
伺う度に器が作られる
工程を見せていただい
ています。
今回は新作の7.5寸の
端反り皿(磁器)です。

粘土の塊からいくつも連続で轆轤をひいている(1)。 深鉢の様な形から見込みをゆっくりと
倒し、縁を広げています(2)。高台の脇を締め、轆轤と手が止まりました(3)。みごとです!
以前の端反り皿には無かった工程がここから始まります。新作は型打ちをしていました。

4:石膏で作られた型。4.5寸から尺(30cm)サイズまできれいに揃っています。
5:型の持ち手を掴み、先ほど轆轤でひいた浅鉢状の器に当てます。型が重みで静かに沈むの
  と同時に、器の口縁も広がり、その後、しっかり石田さんが落し込んでいきます。
6:勢いよくひっくり返します。
7:型を落とす前にも器にはたいていたのが、型離れをよくする為の離型剤。と言っても片栗粉。
8:裏側、高台の方からは板で叩きながら締めていきます。丸みのある形が浮かびあがります。
9:轆轤の段階で少し大きめにひいている為、弓と言う道具で縁を削ります(轆轤を回しながら)。
10:更に全体を指で型にそわせ、その後、型から器を外します。(外す際、型と器の僅かな隙間
  に息を吹きこむ裏ワザのような事もされていました)
11:手前2点が型打ち済みのもの。奥2点は型打ち前の状態です。
*ページトップの画像(DM)に写る3点(紅毛手、スリップウェア、色絵)は端反り皿(径30cm)。

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[出来上がっていたお品]

定番品のようになっているお品も、
毎年少しずつ変化を見せている
石田さんの器。今回も新たな形と
なっているお品の数々が出来上
がっていました。リム皿もエッジの
きいた凹凸部分がある形になり
登場する予定です。磁器の物は、
紅毛手のクリーム、ホワイト、ブルー。
そして白磁。土物の南蛮焼締は、
碗や花器、徳利にぐい呑みなどを
工房で確認できました。スリップ
ウェアはこれから制作予定だと
伺いましたので、このあたりは
展覧会までのお楽しみとなります。

[仕込現場]

[工房にある]
左:石田さんが近くに置き、手本としていた
  磁器の破片。砥部焼の古いもので、
  高台や見込みのつくり、厚みなどを見
  ているとの事。習得意欲旺盛です。
右:たくさんあった木ごて。轆轤をひきな
  がら、見込み部分にあてる道具です。
  器の形1つ1つに合った木ごてを使い
  わけているそうですが、以前には
  1つのこてで全てを作っていた時期も
  石田さんにはあり(それも凄いです)。

石田さんの仕事の充実ぶり、着実な歩がよくわかる10回目の訪問となりました。
伸びしろはその人の意識と努力次第で作れるものだと、実証して見せて下さる石田さんです。
可愛い顔に見えてくる軽トラと一緒に。

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[以前に石田さんの工房を訪ねた様子はこちらから]

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愛媛県松山市。[いで湯とお城と文学の街、松山へようこそ]
空港から市街地へ向かうリムジンバスの中でそう流れるアナウンス。
いで湯やお城のある市街地は通り抜け、バスを乗り継ぎ更に1時間。
緑豊かな山間に工房を構えている石田さんを、今年も訪ねてまいりました。

店主が工房で気になったお品です。
左:単品使いも、銘々用にも使え重宝する6寸のお鉢。
中:去年は腰が張った形。今年の湯呑は優しいライン。
右:これまで描いていた松とは一味違っています。