大村剛 陶展

2009/9/19(土)−26(土) 会期中無休
[作家在店日:19日]

どこかで出会っているかたち。
つい先日通りがかった場所でだった
かもしれない。子供の頃の懐かしい
景色の中でだったかもしれない・・・
そんな記憶となったものと
パズルのピースが一致するように、
大村さんのかたちとまた出会います。
今回で3回目となる当店での個展。
食器という制約のあるかたちを、
楽しむ余裕が生まれているようです。
黒、色絵、磁器、楽とご用意下さる
そうですので、楽しみになさって下さい。

まだ残暑の残る9月初旬、福岡県うきは市に
いらっしゃる大村さんを訪ねました。
昨年秋にもお邪魔しているので、
大村さんにお会いするのは約1年ぶり。
山を少し上がり、四方を緑に囲まれた大村家に
向かう途中、何本かの白いさるすべりの花が、
涼しげに風に揺れていました。

[前日に窯焚きをしているので、いらした時工房は暑いですよ]と、
前もっておしえていただいていたので、汗だくの取材も覚悟で
工房内に足を踏みれたのですが、さほど暑くなく安心・・・
でもさすがに工房奥にある2つの窯に近ずいて行くと、
むわんむわんした熱気を放っており暑い!窯の中を覗き、
シャッターを押すにも集中力散漫にちょっとなってました。

2年前まで、レンタル工房で制作していた大村さん。
クセのあったレンタル窯から、自分の新しい窯に
慣れるまで、微調整を重ねて今に至っているそう。

扉の開いていた窯には白磁
の器がぎっしり!彩色など
施し、再び焼き(本焼)ます。
と言うわけで、展覧会で
ご紹介する器がもう1つの窯の
中にもあり。それは、展覧会で
ご覧いただきたいと思います。

箸置き(?)制作途中。

急須は形、色の違うものを色々ご用意下さるそう。

赤の発色を見る為、色々と
試し塗りし焼いたテストピースも
見せてもらいました。この赤にも
大村さんの拘りがあります。

大村さんの黒ずらり。質感には、これまで
徐々に変化があり、今は今でピンポイントに
ねらう黒が大村さんの中にあるようです。
見せていただ器の黒は、潤いを帯び、
落ち着いた漆黒のような黒でした。

持ちやすく、スタイルも良い。
白磁の色絵カップ。

それぞれ焼き方を変えているという碗。

工房に入って真っ先に目に飛び込んできたのが、
壁に飾られていたこれ。なんかきれいです・・・
大村さんの感覚の一端が覗けます。絵付け用の絵の具で
出したい色を、まずは水彩絵具で調合してみるんだそうです。
例えば簡単に言うと、オレンジ色を作るのに、黄色と赤は
どれぐらいの割合で混ぜれば好みのオレンジになるかという
具合だと思います。これはその水彩の試し塗りだそうです。

[8号]と記された真新しい
刷毛が一杯。ホームセンター
で硬めのものを買っている
とか。色を薄くのせるのに
良い硬さなんだそうです。

茶こしの穴を開けるのに、市販の道具だと
思うサイズではないらしく、大村さんは
傘の骨の先端を使い穴を開けているそう。
左:練習した茶こし。右:傘の骨。(ボケててすいません)

轆轤のまわり。

大村さんと、陶芸家で、H.worksでもお付き合いのある奥さんの黒畑日佐代さん。このお二人のまわりには
おかしな話が絶えずあるようで(愛すべき人々が多いという事でしょう)、今回も大いに笑わせていただきました。
そして、お昼にトマトのパスタと、ジャガイモの冷製スープを大村さんの器でご馳走に。
盛り映えしてますねぇ。デザートのニンジンケーキとコーヒーも。心のこもるお料理と器で美味しかった!

台湾で茶器の展覧会も
控えている大村さん。
今回大村さん自ら、
とっておきの中国茶を
いれて下さいました。
黒畑さんの器も使われて。

道具の正式名は、急須が茶壷
片口は茶海、湯呑は茶杯。

熱湯で急須をまず温めます。
内に注ぎ、外にもかけて。
(湯呑も温めます)
お茶は急須から湯呑に直接
注がず、一旦片口にあけ
(濃さを均一にする)、片口
から湯呑に注ぎます。
作法を見るのも楽しいです。

濡れた急須の色がまた美しい!
急須はかなり熱くなっているようで、
「これを我慢して持たなくては
いけないんですよ」と言いつつ、
思わず「あっつい!」と手を放す
大村さん。美味しい中国茶をいれる
極意はここにあるようです・・・

フルーティーで美味しいお茶でした!!

[心も落ち着く時間]

[心はずむ大村家のあちらこちら]

大村剛 おおむらたけし

1977年 福岡県生まれ

1997〜1998年
      岩田圭介氏、岩田美智子さんに師事

2000年 岐阜県立多治見工業高等学校
       陶磁科学芸術科 卒業

  多治見のレンタル工房[studio MAVO]で
  制作していた時期を経て独立。

2007年 福岡県うきは市に工房を構える

もめ事が苦手で、理不尽なこと
であっても、我を通し騒ぐ
ような事はけしてしない。そして
口べたな分、違う表現力を
身につけた人のようだ。

うきは市からは、高速バスで
博多に戻ります。博多に着く
寸前、バスから見た夕暮れ。

[番外・太宰府]

九州国立博物館が面白いと以前
から聞いていたので、調べると、
企画展があの今話題の
[国宝 阿修羅展]。しかも
その博物館は、高校の修学旅行
で訪れ、思い出の味となった
[梅がい餅]のある太宰府天満宮
の境内すぐそばに建っている。
これは行くしかないとなりました。

参道には[梅がい餅]を
売る店が軒を連ねてい
ます。どこで買おうか
迷ってしまいます。
お餅の中に餡子が入り、
表面をカリッと焼いた
[梅がい餅]。焼きたてを
その場でいただくのがいい。
太宰府天満宮本殿。趣があって
美しい檜皮
(ひわだ)葺きの屋根。
学問の神様としても有名ですね。

ミュージッククリップにありそうな、
この近未来的な空間は、博物館
(小高い山に建つ)へつながるトンネル
の中。[動く歩道]になっています。

巨大看板。画像右下に人がいるんですよ。

何体もの仏像、鎮壇具として土に埋められていたというガラスや金属の工芸品もあり、
遥か遠い時代の豊かな一面。これらを作った人々の美意識や精神性の高さを知ります・・・

360度、阿修羅像が見られるというのが今展覧会の見どころの1つなのですが、なにせ混雑しているので、
平等に見る為に、スタッフの「い−ち、にーい、さーん・・」という掛け声で、阿修羅像の周りを二重三重と囲む人の輪は、
時計回りに動き、ぐるぐるしながら眺めるという具合になっていました(端から見ると何かの儀式のようです)。
お堂で静かに拝める事が出来れば、それが一番いいんだなと思って帰ってきました。(常設展示も見ごたえありです)

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2006年に大村さんの工房を訪ねた様子
2005年に大村さんの工房を訪ねた様子