大村 剛 EXHIBITION

大村 剛 おおむらたけし

1977年 福岡県生まれ

1997〜98年
       岩田圭介氏 岩田美智子さんに師事

2000年 岐阜県立多治見工業高等学校
       陶磁科学芸術科 卒業

現在、多治見のレンタル工房[studio MAVO]にて作陶

2006/12/16(土)−23(土) 会期中無休
作家在店日、16日

2005年に大村さんの工房を訪ねた様子はこちらから。
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「金属のような」と形容されることも多く、
一瞬の戸惑いを生む大村さんのやきもの。
彫刻的でもあり、絵画的にも感じられます。
他に代わる存在のないやきものは、
心地良い違和感を放ちながら、
人の心をはずませてしまう魅力と、
日常の何でもない一コマを、
新鮮に映し出す力をもっています。

H.worksでの個展は、約2年ぶりとなります。
未知数な大村さんのやきものを、
どうぞお楽しみ下さい。

今月初旬、大村さんを訪ね、
展覧会にご用意していただける
お品物の数々を見せていただきました。
半分ぐらいは、まだ制作過程の途中でしたが、
1点1点丁寧に作られているのがわかり、
出来上がりに期待が膨らみました。
色絵とクロのお品物が半々ぐらい、
そして、お抹茶茶碗や水指なども
出展して下さるそうですので、ご期待下さい。

A、窯から出されたばかりのもの。B、これから彩色が施されるもの。C、新作の角皿色々。

抱えて持つイメージで
作ったというボウル。
左右に窪みがあり、
そこに親指をかけて、
器を両手で包みます。
窪みが片方だけの
飯碗もありました。

お茶をされている親戚の方に、
頼まれて作ったのがきっかけとなり、
ここのところ大村さんは、
楽焼のお茶碗を作られています。
それは、大村さんの新たな仕事に
なっているようで、納得のいくまで、
繰り返し焼いている話も聞きました。

大村さんが、「これにグリーン
でも活けて下さい」と言いながら、
ちょっと重そうに、抱きかかえて
運んできて下さったのは、色絵の
花器でした。深みのある赤です。
『さ〜、何を活けましょうか・・・』

撮影許可の下りなかった、造形の面白い花器や注器もありましたので
(工程がまだあり)、それは是非、展覧会でご覧頂きたいと思います。

[大村さんの謎]

薄焼きクッキーみたいで、様々な形のプレートが、素焼きの状態で、
さげ板の上にたくさん並べられているのを見ました。
何と思い当たるものの無い、その不思議な形の数々を見て思わず、
「この形はどこから生まれるの?」と、大村さんに尋ねたところ、
大村さんは、意外なものを持って来て、見せて下さいました。
二つ折りにした紙に、下描きなしで、ハサミを入れて切リ抜いたもの。
感覚にまかせ、ハサミを滑らせて楽しむ大村さんの姿が浮かびました。
二つ折りを広げ、左右対称になって、また自分の想像を超える形がそこには
あるのでしょう。形の無限性をこんな風に知り、広げているとは・・・

いつも多くを語らない大村さんですが、
今は、自分の中で生まれた衝動を、
伝えたいという気持ちばかりで
形にしてしまっている。という様な事を、
先日はおっしゃっていました。
そして、50代、60代になった頃には、
こうありたいという自分のやきもの話も、
ちらりとして下さいました。



美味しいコーヒーをいれて下さる大村さん。

番外 [富士山day]

大村さんを訪ね、岐阜県多治見に向かう途中に見た富士山です。
広がる裾野は見えませんが、そびえ立つ姿の美しさはやっぱり特別。
そして、東京方面に向かって走る帰り道でも夜の富士に遭遇。
今まで、何十回と走っている中央道ですが、初めての事です。
低い稜線から、突き抜けた淡いグレーの大きな塊が目に飛び込んで
きても、最初は、フロントガラスに何かが反射して映っているもの
だと錯覚していました。目がなれ、しっかりと富士の形を捉えた時は、
ちょっと興奮してしまった。(夜に富士山が見られるとは思って
いなかった・・・) 家路を急いでいた気持ちにもブレーキがかかり、
しばらく闇夜に浮かぶ富士に見とれての走行となりました。

[大村さんご夫妻]

大村さんの奥さんからは、大村さんの問題児ぶり(ちゃんとした大人ですが)をよく伺います。
普通だったら、場の雰囲気も悪くなりそうな話も、何故か楽しく聞けてしまうのが
このご夫婦の面白いところ。包み隠さず暴露してしまう奥さんの話に、大村さんは
言い訳をする事も、反論する事もせず、それどころか、大真面目に訴えている奥さんを、
楽しそうにニコニコと見ているのです。その二人の姿が対照的で、第三者も笑わずには
いられません。(三枝も椅子から転げ落ちますよ。きっと) 大村さんは超マイペース型。
(優れた物作りの人には多いように思います。でも制作はすごく早いです。)
それに気をもみ、振り回されている奥さんは、怒り心頭に・・・のパターンのようです。
穏やかで、人を不愉快にさせる事はけしてない大村さんですが、奥さんにとっては違うようです。
水と油の様に、全く違う性質に思える二人。陶芸家同士でもあり、意見をぶつけて、
理解を深めている姿がなにより素敵な二人なのです。微笑ましい!