増田勉 陶展

2015年
10月17日(土)−25日(日) 
会期中無休

作家在店日
17日(土)・18日(日)

土鍋に耐熱のココット、直火OKのピッチャーなど、来たるシーズンに嬉しいお品多数。
彫三島や絵付けを施したもの、ポットや急須もご用意下さるとか。
豊かに広がる増田さんの表現、確かな造形力がものを言い成せる仕事でしょう。

すすき、コスモス、女郎花・・・ 秋の草花を眺め走る道。
神奈川県相模原市に工房を構える増田さんを訪ねます。
山梨県との県境に近く、丹沢山地の裾野にあたる青根と
言う地域に、工房を移されたのは11年前の事だそうです。
裾野と言っても標高450mの場所。車は山林の中のヘア
ピンカーブを何度折れたことでしょう。いつの間に山並は
目線の位置にまで。途中、堤防が道となる小さなダムも
渡ります。伺うのは2度目ですが、緑に囲まれた工房の
入口を見落とし通過。その先もドライブしてしまいました。

増田勉
1954年 東京生まれ
1977年 日本大学芸術学部美術科 卒業

広いスペースを3つに仕切り使われている工房。轆轤があり成形をされて
いる場所。窯があり(電気の物が大、小)、仕上げ加工などをし、出来たお品
を並べている場所。そして休憩室(泊まり込みあり)となっているお部屋。

増田さんは絵付けの作業をされていました。千鳥が飛ぶ空が浮かぶ絵です。
切れの良い線を生みだしている筆は自作だそうです。大き目の筆(既成品)
の毛を解き、細筆に束ね、軸は工房前に生えている笹だと聞いて驚きます。
この軸がまた美しい。こて類など道具作りもされているとは伺っていましたが
筆までとは。思い描くものを作る大事な工程の1つとして、増田さんにとって
は当然なのかもしれません。手間も楽しんでもいらしゃるように思えます。

制作途中のお品。新たに試みて
いただいたお品物が色々あります。

左上:小さ目の土鍋や新作となる
グラタン皿などが並ぶ棚。

右上:来待釉や飴釉になる予定
だと言うお醤油差し。

左下:カリタのドリッパーがのって
いるのは直火OKのポットです。
茶こし付きなので、チャイなど
茶葉を煮出し、そのままカップに
注げるでしょう。保温力も嬉しい。

右下:耐火土で赤紫色になってい
るのが、こちらも火にかけられる
注器、土瓶です。口あたりが柔ら
かなお湯になり、黒豆茶や麦茶
など、時間をかけて煮出すと一味
違ってくるでしょう。焼き上がりが
どんなお色かはお楽しみに。

出来上がっているお品物もたくさんありました。
左:出来上がったばかりのようです。新作となる玉子手の品々。
 碗、小鉢(三島)、湯呑、マグカップ、ピッチャーなど。
中:玉子手の碗。玉子の殻の色ようでもありますが、柔らかな
 空気感をまとい、真綿色とも言いたくなります。いつもの
 増田さんの碗よりはやや小ぶりのものです。
右:籾灰釉、貫入染め、粉引、象嵌、林檎灰釉・・・ 様々な手の
 お品物もご覧いただけるようです。

そして薪窯(陶芸家・村木雄児さんの)で焼かれ、豪快な刷毛目
が走り、力強い焼きの大壺などもご用意下さっています。

左:工房の壁に飾られたポストカード。(増田さんを触発するものの一部でしょう) 
  1つだけ額付きなのが、ルネサンス期のドイツの画家、ルーカス・クラナハの
  裸婦(ヴィーナス?)。昨年訪れたルーブル美術館で感動の対面をされたそ
  うです(嬉しそうに語って下さる)。大学では油絵を専攻されていた増田さん。
  絵画的なマチエールが、増田さんの焼物の肌合いにも感じられたりします。
右:古書かと思いました。増田さんの眼差しで穴があいているかもしれません。
  増田さんの指針となるものがここには凝縮されているようです。

大学卒業後、教員の道に進まれた増田さん。
でもある時手にした南蛮焼締めの急須
によって道は二つに。35歳の時だそうです。
そこから独学で焼物を創る日々を送られて
きたそうです。そしてその時間に趣味的な
感覚は無かったと伺います。だから今の
増田さんに繋がるのだとかわりました。
50歳で退職し、道一本の今に至ると。

とことん突き詰められ、ごまかしの無い仕事。
人よりスタートが遅いからと言う理由もある
ようですが、創ることでしかわからないとも
仰り、もの凄い仕事量の増田さんです。
そのパワーにはいつも圧倒されます。

頭先行で創らないように、体でする仕事の
部分を前に出したい。そうも仰られていました。

左:青根の町が一望できる工房の裏山へ連れて行っていただきます。
  以前は赤松の林で、戦時中は防空監視哨と言う敵機を監視する
  場所だったそう。もう少ししたら山の色も変るのでしょう・・・
中:増田さんのアユ釣り場となる道志川。工房から車で5分もしない
  所です。お忙しくて最近はいらしていなかったとか。この日は
   数人の釣り人がいました。
右:魚好きの一面を覗かせる絵付け。ナマズって渋いです。

[番外]

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