田谷直子 陶展

2015年5月16日(土)−24(日)
会期中無休
作家在店日:16日(土)・17日(日)

愛らしさがただよう器の形。
目には映らない細やかな
心づかいが、使い勝手の良さを
生んでいると感じさせます。
今回はポットや急須など注器に、
中国茶器も加えて下さるとか。
そしてグラデーションのように
広がる様々な釉で作られたもの。
土味を生かしたルリ釉のものなど、
新作も見せていただけるようです。

5月上旬、神奈川県相模原市で作陶をされている田谷さんを
訪ねてまいりました。田谷さんを訪ねる楽しみの1つがこの緑
と花々。目に潤いをあたえてくれる田谷家の庭でした。

工房の前には、乾燥中の7〜9寸のお皿。黒ルリになるそう。
贅沢に活けられた2色のアイリスが入口に。そして田谷さん
お手製のレモンピールをいただきます。丁度良くピールが
納まっている蓋物から田谷さんは摘んでいらっしゃった。

出来上がっていたお品物を見せていただきました。
左:灰釉丼。見込みも深かめのたっぷりタイプ。ラーメンに最適。
中:きなりや灰釉のお皿色々各サイズ。
右:何人かのお客様よりいただいていたきなりポットのリクエスト。
 出来ていました。左側は試作品(蓋の形も異なる)で、田谷さん
 が使われている物。かなり貫入に茶渋が染み込んでいますが、
 新たな物はここまでは色づかないだろうとの事です。

左:砂を多めにし、表情に変化をもたせた新作の小鉢。
 質感だけでなく、色合も少し複雑になっています。
中と右:出来ているお品です。フォーが浮かぶきなりの丼が
 あったり(田谷さんも同じ想像をされていた)、面取りされ
 シャープなラインの灰釉花器があったり。展示空間に程
 良い緊張感も生まれそうで、花を活けるのも楽しみです。

〈 制作現場 〉
1:本焼きも済んだ器の見込みに釉がかけられています。釉のかかり
  具合が薄かったとかで、再度かけ、二度焼きをするのだそうです。
2:制作段階の異なるお品が並んでいました。
 上段の丼 → 素焼に釉薬がかかっている状態。
 中段のピッチャーやカップ → 素焼を終え釉がけを控えている。
 左下の丸碗 → 乾燥をさせている最中。これから素焼をする。
 いずれもルリ釉のお品になるそうです。思い通りに焼き上がらず、
 神経をつかうのがルリ釉だそうです。
3:轆轤周辺。ここから美しい形が生み出されています。
4:電気窯を2台使われている田谷さん。素焼を主にしていると言う窯
 の上に、高台の削り作業などが残るお品物。飯碗、ポット、皿類…
5:こちらは本焼きメインに稼働をさせている窯だそうです。

左:田谷さんが日課にされている早朝の山歩き。後方で西日に
 照らされているのがその山。そしてトトロに出てきそうで好きだ
 と言われた大木のけやきが手前に。工房裏手の景色です。
中:甘夏ロールケーキを田谷さんの器でごちそうになりました。
右:カメラを向けるといつもはにかむ田谷さん。人前に出る事が
 子供の頃から苦手で、今でもそれは変わらないようです。
 惑わされず、力みのない歩。ご本人も作られる器も自然体です。

[番外・1・出会い]
工房の窓。すりガラスに違和感なく光にかざされていたもの。よく見ると
ハングルの文字。陶芸家の故・青木亮さんから借りられた図録をコピー
させてもらったものだとか。今回、青木さんと出会われるきっかけとなった
シチュー屋さんに連れて行っていただき(以前から高原にありそうな建物
が気になっていた)、タンもテールも入るビーフシチューをいただきます。
学生時代から20代半ばまでこのお店でアルバイトをされていた田谷さん。
店の一角で初展示もさせてもらい、オーナーが親しくされていた青木さん
を紹介していただき、田谷さんは自作の器を持って青木さんの工房を
訪ねるようになるのだそうです。その後田谷さんは変わっていくようです。

田谷直子 たやなおこ

1973年 神奈川県生まれ
1997年 明星大学日本文化学部
       生活芸術学科 陶芸専攻
       研究生 修了
同年より 神奈川県相模原市にて、
       陶芸を始める。

[番外・2・急須の神様]
参考にといただいた朱泥急須を
うっかり割ってしまったところ、
その破片の中から爪先ほどの
大黒様が出現。丸い茶こし部分
の下に付いていたようですが、
割れなければ気づく事も無く、
何故そこに付けられ、何故大黒
様なのかが謎なのだそうです。
(ご存知の方は教えてほしいそう) 

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